「TOEICなんて意味ないよ」
こんなことを言うアンチTOEICな人々、あなたの周りにもいませんか?
僕も何人か見たことがあります。
以前の記事でも、「TOEIC受験者のほとんどが日本人」というウワサがあることをお話しましたね。
実際にデータを見てみると、これは結構誇張されたウワサだったわけです。
それにしても、なぜこんな悪意のあるウワサが立つんでしょうか?
今回は、TOEICが批判される理由について考えてみました。
資格試験ビジネスと化している印象があるから
TOEICのスコア自体がブランド化してしまっていて、英語ビジネスのようになってしまっていると感じている方もいるかもしれません。
確かに、就職や転職で英語力として通用するのはTOEICだけです。
英検やTOEFLでいいスコアをとっているより、TOEICで点数が高い方が有利な印象は否めません。
英語資格がTOEIC一強状態なので、TOEICは資格試験で金儲けしてるんじゃ?って思ってしまう方も少なからずいるでしょう。
実際、TOEICの2018年の受験者数は245万6,000人にも上ります。
TOEICの受験料は5,725円ですので、年間140億円もの金額が動く、巨大な市場になっています。
しかも、運営団体自体が公式模試や公式単語集を売り出しており、さらにお金が流れる仕組みに…。
TOEICは資格試験ビジネスのようになってしまっていて、それにネガティブな印象を持っている方も多いでしょう。
それが、アンチTOEICを生み出す一因になっているのかもしれません。
TOEICは日本人が発案した試験だから
TOEICという試験を実施するのはETSという米国の団体なんですが、その発案は実は日本人らしいんですよね。
IIBCのページには、
もっと多くの日本人が英語によるコミュニケーション能力を磨く必要がある。そのための実効性のあるプログラムを開発しよう。そのような発想を元に日本人の手によってTOEIC L&Rの開発プロジェクトが動き出した
と書かれています。
これを知った人が、「TOEICは日本人が作った試験→しかも受験者に日本人が多い→日本人による日本人のための試験じゃん!」って思って、アンチTOEICが生まれたんじゃないかなぁって勝手に思っています。(妄想)
でも、「日本人が発案したテストだからTOEICはダメ」っていう論理は、正直よくわかりません。
もっと言うと、仮にTOEICが日本人向けに作ったテストであったとしても、それでもTOEICがダメってことにはなりません。
「日本人による日本人のための英語テスト」が全部ダメなら、日本の大学入試の英語が全く意味ないことになっちゃいますからね。
少なくとも僕は、大学入試の英語試験を全否定する気にはなれません。
もう少し深堀りしてみましょうか。
例えば、アメリカ人がアメリカ人のために作った英語のテストというものがあったとします。
この試験が、日本人の英語力を図るために適した試験かというと、絶対そんなことはないです。
ネイティブが作る英語の試験って、いわば日本の大学入試の現国みたいなものです。
ネイティブが頭を悩ませるための英語の試験です。
こんな試験を、ノンネイティブの日本人が受けたら難しすぎます。
日本人に求められる英語力というのは、英語版『現国』を解くための能力ではなくて、基本的な英語を理解し、英語で意思疎通できる能力のことです。
ネイティブなら全員が持っているはずの、基本的な英語力があるかどうかを測る試験であるべきです。
TOEICがノンネイティブのために作られた試験であるなら、別に発案者が日本人であろうが、関係ないです。
むしろ日本人の手が入っているほうが、より正しく日本人の英語力を測れる可能性だってありますしね。
例えばLとRの区別とか、リンキング(音がくっつく現象)とか、日本人が苦手な要素を問題に含めることもできますしね。
TOEICというモノサシに異論があるから
3つ目の理由は、TOEICスコアと英語力が必ずしも比例しないから、です。
これは、個人的には一理あると思っています。
実際、TOEICのスコアが高くても英語が喋れない人もいます。
逆に、TOEICのスコアが低いけど、日常英会話が喋れている人もいます。
ですので、「TOEICはちゃんと英語力測れてないじゃん→TOEICなんて全然ダメ」っていう論理が成り立っちゃってるのかなぁって思っています。(妄想)
確かに、TOEICが万能の試験じゃないのは事実だと思います。
TOEIC慣れすればスコアは上がるりますし、いわゆる『攻略法』があるのも事実です。
TOEIC L&Rだけでスコアが語られるのも変ですしね。SpeakingとWritingというアウトプット系の能力が全く測られていないわけですから。
だからと言って、TOEICに全く意味がないかというと、そんなことはないと僕は思っています。
TOEICのリスニングは、実際の仕事でのリスニングに役に立ちますし、TOEICで勉強した英単語はビジネス上よく見る英単語ばかりです。
TOEICは、英語力を正確に測れる試験ではありませんが、英語学習をする上での到達度の目安にはなります。
TOEICよりも正確に英語力を測れる試験も確かにあるんですが、それはそれで問題があったりします。
例えば、留学を目指す学生向けのTOEFLというテストは、『攻略法』が存在せず、英語の実力がそのままテストのスコアに現れます。テスト科目も、Reading、Writing、Listening、Speakingの4科目です。
一見、素晴らしいテストのように見えるんですが、はっきり言って留学を目指していない日本人が受けるには難しすぎます。
難しすぎて、むしろ英語を勉強する気力が奪われてしまいます(経験談)。
もっと言うと、4時間ぶっ通しのテストな上に受験料が2万5000円なので、気軽に受けるのはムリです。
結局、『英語が得意ではない日本人』の英語力を『そこそこ参考になる程度の正確さ』で『リーズナブル』に受けられるという意味で、TOEICはとても優秀な試験だと思います。
結局、TOEICという試験をどう使うかが大事
なぜアンチTOEICが存在するのか、TOEICが批判される理由について色々とお話しました。
TOEICは完璧な試験ではありませんので、批判が存在するのは当然と言えるでしょう。
TOEICがビジネス化している面もあるのは事実ですし、TOEICハイスコア取得者が必ずしも英語がペラペラじゃないのも事実です。
実際、公式問題集を何度も解いてTOEIC力を向上させれば、TOEICのスコアは上がります。上がってしまいます。
でも、本当に英語力を向上したいのであれば、公式問題集を封印するという選択肢もあるわけです。
公式問題集を使わずに、TOEIC力ではなく英語力を地道に高めていく。そして、その成果を測る場として、TOEIC公開テストを利用する。こうすれば、ちゃんと英語力は伸びるはずです。
世の中に完璧な試験なんてありません。そして、試験で高スコアを取ること自体には大して意味はないはずです。
英語学習者として一番肝心なのは、『TOEICを使ってどうやって自分の英語力を伸ばすか』だと思います。